システムトレード(導入編) システムトレードの作業 - 開発フェーズ -
システムトレード講座で使用するのはテクニカルに関する情報だけです(基本的には株価の4本値と出来高のみ)。ファンダメンタルズに関する情報は一切使用しません。ファンダメンタルズに関連する情報は過去に渡って一貫して収集するのが困難であること、データ化に時間が掛かることから投資の費用対効果に疑問があるからです。
ストラテジーの構築
株価データを使って、ストラテジーを構築するのですが、まったくのゼロから作り上げることはとてつもなく大変です。先人が考え抜いた、あるいは過去に機能した実績のある考え方を取り入れた方が株式投資成功への近道となります。
先人はシステムトレードという言葉がなかった時代から、トレードに有利に働きそうな枠組みを作り出してきました。その枠組みを現在の株式市場にそのまま当てはめて儲かるほど甘くはありませんが、基本の骨格として利用することには十分な意味があります。
ディールメソッド
この枠組みをプログラム化したものがディールメソッドです。いつ株式を購入して、保有する株式をいつ売却するかというタイミングを組み込んであります。ディールメソッドでは、指定する値を調整することもできます。
例えば、ディールメソッドの一つにt-maxoがあります。これは短期と長期の2本の移動平均を使ったシステムトレードなのですが、短期の移動平均が長期の移動平均を上回ったとき(ゴールデンクロス)に買い、逆に下回ったとき(デッドクロス)に売りの売買シグナルを出すものです。
長期や短期の移動平均といっても、どれくらいを長期、短期と考えるかは、あなたの投資スタイルに依存します。投資スタイルを考えた上で、ディールメソッドに指定する値(パラメータ)を調整することが必要です。通常は人によって設定値が異なるので、この違いがストラテジーの独自性と優位性となります。
フィルターとストップメソッド
ディールメソッドはストラテジーの中核です。これだけでも最低限のトレーディングシステムになるのですが、フィルターメソッドとストップメソッドを組み合わせることで、より独自性のあるストラテジーが完成します。
ディールメソッド |
参入ポイントと退出ポイントを指定する。
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フィルターメソッド |
参入を満たす条件、退出を満たす条件を指定する。
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ストップメソッド |
ディールメソッドとフィルターメソッドでは対応し切れない退出条件を指定する。
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ディールメソッドはストラテジーの中核要素です。これがないと話になりませんが、残りのメソッドはオプション的な位置付けになります。付け加えたほうが効果的だと思うときに使用します。フィルターメソッドは主に入口戦略を担当し、ストップメソッドが出口戦略を担当すると考えてください。
ディールメソッドが指示した参入シグナルはフィルターメソッドの参入条件を満たしていないとキャンセルされます。逆にフィルターメソッドの退出条件を満たしたり、ストップメソッドの条件を満たすと強制的に退出させられます。
ストラテジーは各種メソッドの複合体
つまり、システムトレード講座でのストラテジーの構築とは、これら各種メソッドを組み合わせたり、調整したりすることを意味します。
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各種メソッド
例えば、ディールメソッドで参入シグナルが出たものの、市場の動向や状態といった別の指標から作られたフィルターメソッドのほうは参入条件を満たしていないといった場合に、参入することを回避することができます(フィルターメソッドの優先順位のほうが高い)。
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ディールメソッド -> 参入シグナル発生 --+
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+--> フィルターメソッドで拒否
また、既に株式を保有している状態で、ディールメソッドは保有シグナルを出したものの、市場の動向や状態といった別の指標から作られたフィルターメソッドやストップメソッドのほうが継続保有は危険だと判断した場合は、ディールメソッドの意向に関わらず強制的に退出させることができます。
| 強制退出
ディールメソッド -> 保有シグナル発生 --+
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+--> ストップメソッドで
強制退出
このように、ストラテジーの各種メソッドの組み合わせパターンはほぼ無限になります。この特徴からマーケットインパクトは起こりにくい仕組みになっています。違う人が同じストラテジーになることはほとんどゼロの確率なので、同じタイミングで参入することは極めて希になります。
ディールメソッド、フィルターメソッド、ストップメソッドのいくつかは、システムトレード講座(実践編)に無料で添付されています。その他のメソッドは別売りになるので、必要に応じて追加していくことができます。
ストラテジーの検証
ストラテジーが構築できたら、株価データが準備できている銘柄に適用してみます。売買成績が良好であった場合は、必ず他の銘柄でも試してみます。たまたま一つの銘柄だけにストラテジーが相性よく合致することがあるからです。多数の銘柄で検証した結果、それでも成績がよさそうなら、優位なストラテジーを発見した可能性が出てきます。
ただし、一つのストラテジーが全ての銘柄で利益を上げることはあり得ません。少ないトレード数であればそのようなケースが発生するかもしれませんが、大量にトレードを繰り返せば必ず勝ちトレードと負けトレードが混在します。結果的に複数の銘柄で検証すると、勝った銘柄もあれば負けた銘柄もあるというのが普通です。最終的に全てのトレードを通算して、勝ちトレード(利益の出たトレード)が負けトレード(損失の出たトレード)を上回っていれば、優位性のあるストラテジーを手に入れた可能性があります。
このような過去の株価データを使ったストラテジー検証のことをバックテストと言います。バックテストで優秀な成績のストラテジーが今後も通用するという確証はありませんが、きちんと検証したストラテジーであれば通用する確率は高くなります。
複数銘柄のバックテストで成績がよいストラテジーでも、過去1年や2年程度のバックテストではたまたま調子がよかっただけかも知れません。なるべく様々な株価の動きを検証するためにもバックテストの期間はなるべく長く取るべきです。また、バックテスト期間が長いといってもトレード数が10回程度というのも頂けません。
では、どれくらいのトレード数がよいのでしょう。厳密には決められませんが、システムトレード講座(実践編、応用編)では具体的な数値まで踏み込んで解説しています。
相場は3種類に分けられる
株式市場の様相は一定ではありません。株価が直近の高値をどんどん切り上げていく上げ相場もあれば、直近安値をどんどん切り下げていく下げ相場もあります。上げ相場で絶好調のストラテジーがあっても、その後の下げ相場で絶不調となって儲けの全てを吐き出すようでは意味がありません。
それに壮絶な上げ相場や下げ相場はニュースにもなって記憶に残りやすいので、チャートを見ても意識的に目がいきますが、実のところ全体の7割は持ち合い相場です。持ち合い相場とは株価が上昇するでもなく下降するでもないちゃぶついた相場です。
相場の状況は刻々と変化していきます。そこで、バックテストの期間はなるべく上げ相場、下げ相場、持ち合い相場を含めるようにします。こうすれば基本的にどんな相場が来ても、長く続ければ続けるほど利益が残る形になります。
もともと、ストラテジーには上げ相場に優れた成績を上げるものもあれば、下げ相場や持ち合い相場に優れた成績を上げるものがあります。従って、今の市場がどんな相場であるか分かれば、いつも最適なストラテジーで市場に挑むことができます。しかし、相場の状態を正確に判定することは難しく、それができれば株式トレードは楽勝です。
結局、過去の上げ相場、下げ相場、持ち合い相場だった期間を含んでも利益を残していけるストラテジーを運用し続けるしかないのです。言い換えれば、調子の良いときでとことん稼ぎ、調子が悪いときは耐え忍ぶようなストラテジーを作り上げることがキーポイントになります。
カーブフィッティングの危険性
仮にバックテストで異常なくらい優秀な成績を上げた(すごく儲かった)ストラテジーを構築したとしましょう。ついに金の卵を産む鶏や錬金術を得たと考えていいのでしょうか。その可能性もゼロではありませんが、過去の株価データでとてもよい成績を上げているストラテジーは同時に、カーブフィッティングという過剰最適化をしている可能性があります。カーブフィッティング状態のストラテジーが将来も通用する可能性はないでしょう。
トレードに関する講座内容やプログラムは全て無保証です。講座やプログラムの使用、プログラム自体の不具合による金銭的、その他損害を受けたとしても、一切保証はできません。また、銘柄の推薦や利益を出せる各種メソッドや各種ストラテジーの質問・相談の受付は行いません。
株式投資は預貯金や定期と異なり、高い利益(リターン)が得られる可能性がある一方、元本保証はありません。つまり、多額の損失(リスク)を被って元本が半分以下になることも十分に考えられます。また、投資する際に利用した証券会社からの情報やメディアの報道、各種投資本からの情報、本ウェブサイトからの情報を利用・解釈して行なった投資が想定していた利益(リターン)を得られない、または損失(リスク)を受けたとしても責任を他人に転換することはできません。あくまで投資は自己責任となります。自分が許容できるリスクを十分に考慮した上での投資をお願いします。