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地球温暖化と太陽の黒点数

 2009年、太陽黒点の数が100年ぶりにゼロになりました。巷では2011年から2012年にかけて太陽フレアーが極大期を迎える…。マヤ文明の暦が2012年で尽きている…。など、様々なニュースが飛び交うなか、地球に何か大きな変動があるのではとの憶測も流れます。

太陽は古代から信仰の対象であり、作物の実りを決める大切な要因です。人がその太陽の黒点数に関心を抱くのは当然といえば当然でした。そして、太陽の黒点数と地球で起こる様々な現象や人の営みに、何か重要なつながりがあるのではと思うのも不思議なことではありませんでした。

近代においても、穀物相場と黒点数の連動が囁かれていました。また経済活動との相関を指摘する説は有名です。最近では巨大地震と黒点数に関する研究結果も出てきて、まだまだ黒点に関する話題は尽きない感じです。

黒点数の記録

 そもそも太陽の黒点が黒く見えるのは、太陽表面の温度が約6000度(5800K)なのに対して黒点が4000度と低いからですが、それでもとてつもなく高い温度です。

ちなみに太陽の上空にあるコロナの温度は100万度(5e+6K)以上になります。なぜ、表面よりも温度が高くなるのか、まだはっきりと分かっていません。

黒点が多いのは太陽活動が活発になっている証拠です。逆に少ないと太陽が低調になっています。元気が良いと黒点(ニキビ)が増えて、元気がないと黒点が減る感じですね。そして黒点が多くなった時期に太陽の北極と南極の磁力極性が反転するというのですから、壮大な話です。

太陽の磁場は2008年から北極だけが極性反転し、北極と南極がともにプラスで赤道がマイナスという4重極構造になっているそうです(日本の太陽観測衛星ひのでも2012年4月に確認)。この現象は170年前と370年前にも起きたと考えられており、その10年後には太陽の黒点数が減って寒冷化しています。このような期間をマウンダー極小期といいます。

そんな黒点数の記録は1600年頃から始まっています。21世紀の現在まで、400年の歴史があるわけです。今回、用意した黒点数のデータは1700年からの300年間分で、年間の平均黒点数を記録したものです。

人類にとって怖いのは温暖化?寒冷化?

 さて、ニュースでは地球温暖化への危惧が叫ばれています。数値的にどうなったから温暖化だという解説はなく、雰囲気で伝えている感じですが、エコビジネスや二酸化炭素排出権取引など、お金が動きやすいからなのか、暑ければ即、温暖化の話題になります。

しかし、これまでの地球の歴史を紐解いてみても、生物が温暖化で困ることはあまりないように感じられます。種の数が大幅に増加したのも、今より遥かに温暖な気候の時でした。全世界が熱帯気候になったからといって、困ることはないように思います。

逆に種の数が減ったのは氷河期です。大量絶滅するわけではないのですが、それでもかなりの生物は死に絶えていきます。

地球の歴史では4つの大量絶滅がありますが、巨大隕石の衝突や、原因不明の大量絶滅、極移動のような天変地異でもあれば、その時は温暖化による影響どころではない規模の変動です。

結局、温暖化よりも寒冷化のほうが生物にとっては過酷ということになりますね。黒点の数との関連を調べるなら寒冷化による現象と比較したしたほうがよさそうです。

2000年からの黒点数の増減

 ニュースでも報じられた「黒点数がゼロ」のインパクトをデータで見てみましょう。ここに2000年から2008年までの黒点数の推移があります。黒点数データがspot.txtファイルに格納されているとします。

  >rpn 2000 2008 -c lookup <spot.txt
  2000 119.6
  2001 111
  2002 104
  2003 63.7
  2004 40.4
  2005 29.8
  2006 15.2
  2007 7.5
  2008 2.9


確かに黒点数が徐々に減ってきています。グラフにすると以下になります。縦軸が黒点数で横軸が西暦です。

  >rpn 2000 2008 -c lookup <spot.txt >tmp
  >xyp -x2000,2008 -y,200 -s1,50 -m | npd
  ^y 200
  |
  |
  150
  |
  |
  |   *   *
  100          *
  |
  |
  |                *
  50                   *
  |                         *
  |                             *        x
  |o                                *    *
  +---|---|----|---|----|---|----|---|---|
    2000     2002     2004     2006     2008
         2001     2003    2005      2007


「黒点数がゼロ」とセンセーショナルに報道されると、とても珍しいことが起こっている気がします。しかし、黒点数の増減は今に始まったことではなく、ずっと昔から周期的に繰り返しています。

それは、1700年からの黒点数観察データから見ても明白です。

  >xyp -x1700,2008 -y,200 -s100,50 -w60 -m <spot.txt | npd
  ^y 250
  |
  -
  |                                                *
  |
  -              *                               * *   * *
  |                         *     *              * *   * *
  |    *         ***        * *                            *
  -    * *     *            *     **       *   *   * *  ** *
  |        * *  ** *        * * *      *       * *   * * * *
  |    * * *   * **       **    * *   **   * * ** *   *
  -* *     * ***   *      *** **** *** * * ***      **  * ***
  *  **** ***** ** **** * ** * * ***  ** ******** * * * *   *
  ** **   * *** * * * * *  * * *** *** ** * * * * * *  ** * *x
  *** * * * * * * * **** *** * * ****** * *** * * * * * * *3**
  +-*----------------|-*----------------|-------------------|>
  1700             1800               1900                2000


プロットした"*"が多くて混雑していますが、黒点数は過去300年間に渡って増えたり減ったりしていることが分かります。その周期は約10年とも言われます。

実際に周期がどれくらいなのか300年分のデータを使って、コレログラムにしてみましょう。

  >rpn x _ <spot.txt >tmp
  >rpn -c crlogram <tmp | rpn 0 -c rownum | xyp -x,20 -s5 -m
  *y 1
  |*
  |
  |                  * *
  |  *             *     *
  |                                      *
  |              *         *
  |    *                               *20
  +--------|---------|-------*-|--------->
  |o           *                     *   x
  |      *   *                 * * *
  |        *
  |
  |
  |
  |-1


どうも9~12年くらいの周期のようですね。真ん中を取るなら10.5年ですが、大き目を採って十二支の間隔と覚えておいてもいいかもしれません。時計板の数字も1~12ですし、古代の人は12という数字に何かを感じ取っていたのかもしれません。

300年の黒点データが示す事実

 300年分の基本統計量を計算してみましょう。黒点の数からどんな傾向が読み取れるのでしょうか。

  >rpn x _ -c statinfo <spot.txt
  デ ー タ        309
  最 小 値        0
  最 大 値        190.2
  範    囲        190.2
  合 計 値(Σ)    15373.4
  平 均 値(μ)    49.7521
  分 散 値(σ2)   1631.12
  標準偏差(σ)    40.3871
  分 散 値(s2)   1636.41
  標準偏差(s)    40.4526
  歪度(a3≒0)    0.985734
  尖度(a4≒3)    3.41102
  変動係数(ν)    0.813083


黒点数の平均は約50個です。最大は190個、最小は0です。幹葉表示ではどうなるでしょうか。

  >rpn x _ -c stemleaf <spot.txt | npd
   0 | 0001112222333444455555555666666677778888889999
   1 | 00000011111111222223333344555556666666677789
   2 | 00001111222233444566667777889999
   3 | 0000012234444555566666777788899
   4 | 000001112233444555567777777777789
   5 | 2334444467899
   6 | 000112233333334444446666667788999
   7 | 00333477889
   8 | 0011233455589
   9 | 2223334568
  10 | 0011333445569
  11 | 11124589
  12 | 1245
  13 | 024689
  14 | 0125
  15 | 144579
  16 |
  17 |
  18 | 4
  19 | 0


ガウス分布でないことが一目瞭然です。そして、過去300年間で年平均0個という年が3回あったことが分かります。

黒点数ゼロは希な現象なのでしょうが、黒点数184個や190個というのも十分に希な現象です。もし、年間平均が200個を超えるようなら、それこそ大ニュースかもしれません。

次は…

 度数分布を見ると一桁台の黒点数が一番たくさん発生することが分かります。黒点数の平均50個からすれば、どちらかと言えば黒点は少ないほうが普通の状態に思えます。

黒点が少ないときは太陽の活動が活発でないときです。では、活発でないときにはどのようなことが起きるのでしょうか。次は江戸の四大飢饉と黒点数について考察し、黒点の周期と照合してみます。飢饉と黒点数には関連があるのでしょうか。

最後に、温室効果ガス(二酸化炭素)説以外の地球温暖化のメカニズムについても言及しています。果たして本当に不都合な真実とは何だったのでしょうか。

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