システムトレード(導入編) トレードに必要なもの - 7つの項目 -
システムトレードを始めるために必要なものは何でしょうか。システムトレードという名前から考えると相当に高価なハードウェアとソフトウェアを想像してしまいます。そして、システムトレードを構築するためには、高度な数学的知識と統計学的知識、そして金融知識も必要な気がしますよね。
しかし、システムトレードのデビューは意外に簡単で、必要な項目は7つだけです。以下にリストアップしてみましょう。
①コンピュータ
②トレーディングシステム
③株価データ
④投資資金
⑤株式取引口座
⑥投資への心構え
⑦費やす時間
①と②はハードウェアとソフトウェアになります。システムトレードと言えば、パソコンやソフトがすぐに頭に浮かびますが、必要な項目のうちのわずか2つに過ぎません。①から⑦まで順に概要を説明していきます。
コンピュータ
トレーディングシステムを動かすにはコンピュータが必要です。しかし、高性能なものは必要ありません。CPUの処理速度が500MHz程度のパソコンで十分でしょう。ハードディスクも10GBもあれば問題ありません(場合によっては1GBでもOK)。従って、ノートパソコンでシステムトレードすることも可能です。
本講座で解説するシステムトレードという条件付です。世の中には高性能なコンピュータを必要とするトレーディングシステムも存在します。
トレーディングシステム
トレーディングシステムと一言で言っても、その対象とする範囲は広く、もっとも高機能なものになれば、トレードする銘柄の自動選択から、購入するタイミング(参入タイミング)、売却するタイミング(退出タイミング)、購入する株数の指示、そして株式売買の自動発注にポジションの売買記録に至るまで、全て管理できるものになります。
しかし、実際にこのようなオールインワンタイプのシステムの全機能が必要な人は希でしょう。なぜなら、統計的に優位性のある参入と退出が裁量取引に比べたシステムトレードの有利点なのですから。従って、参入と退出が指示できる最小限のトレーディングシステムさえあればよいことになりますね。
本講座で解説するシステムトレードという条件付です。百万円を超える高価なトレードソフトもあります。ただ、高いからといって、そのシステムが必ず儲かるという保証はまったくありません。トレード先進国のアメリカでも100ドルのシステムトレードソフトが10000ドルのシステムトレードソフトよりも成績が良かったこともあったようです。
株価データ
システムトレードを行なうにはソフトウェアと同時にデータも必要です。裁量で株式投資する場合には経営情報、財務情報、在庫や受発注の状況など、判断材料となるデータは全部利用しようとする傾向があります。
しかし、システムトレードで必要とするデータは株価データだけです。市場が開いて(寄り付きという)から閉じるまで(大引けという)の株価の値動きを表した始値(はじめね)・高値(たかね)・安値(やすね)・終値(おわりね)の4つの株価と一日の出来高(できだか)の全部で5つがあれば大抵のシステムトレードが可能になります。その他の財務情報や経営情報は検証できないことが多く、システムトレードには無用と言えるでしょう。
インターネットへの接続環境さえあれば、証券会社のウェブサイトで銘柄コードや需給状況、株価をチェックできるのでコストも掛かりません。
株式投資においては、情報が多ければ多いほどよいということはなく、百害あって一利なしの面もあります。事実、経営情報や財務情報など手に入る情報には粉飾などの恣意的な変更を加えられる場合もあり、何が正確なのか分からないのが現実です。また、それらの情報には知っている人(インサイダー)と知らない人(アウトサイダー)の情報の格差があり、アウトサイダーである個人投資家が知らない情報が多くあります。その点、株価や出来高にはウソはありませんし、機関投資家などのプロと同じ情報で勝負できます。
投資資金
投資資金は余裕資金であることが必要です。生活資金や結婚資金、教育資金などはいずれ必ず支出が発生するものですから、投資資金として利用してはいけません。トレードは儲かることもあれば損をすることもあります。必ず、しばらく使う予定のない余裕資金を株式投資に充てるようにします。
投資する資金は多ければ多いほど良いのですが、少ないから始められないわけではありません。ただし、システムトレードでは基本的に特定銘柄に集中投資することはありませんから、最低でも5から10の銘柄に分散投資できる資金量があるといいでしょう。例えば、一銘柄あたり最低の購入代金が10万円とすると5銘柄で50万円、20万円とすると5銘柄で100万円です。
卵は一つの籠に入れるなという格言があります。これは複数の銘柄に分けて投資する分散投資という考え方について述べたものです。一つの銘柄に全資金を投じて、もし不祥事などで暴落したら最悪です。複数の銘柄に分けて投資しておけば、仮に一つの銘柄が暴落しても被害は最小限度に収まります。
株式取引口座
トレードするためには証券会社に口座を開く必要があります(口座開設は無料)。開設後、口座に資金を預けてから株取引が可能になります。証券会社には大手証券会社と地場の証券会社がありますが、伝統的な方法では証券会社に口座を開いて窓口の担当と投資の相談をします。注文は店頭窓口か電話で行なうことになりますが、電話などの人手を介す注文はコスト高です。
システムトレードでは、窓口で相談することはありません。売買ルールに従って売買を繰り返すだけです。誰にも相談する必要はありませんから、注文手数料を一番低くできます。従って、口座を開くのに最適なのはインターネットの証券会社になります。注文も証券会社のウェブサイトで自分で行います。そのため売買手数料は購入・売却額の0.数%程度で収まるようになります。
口座の開設はインターネットから申し込みができるので、身分証明(免許証等)のコピーと捺印があればOKです。提出する書類に書き損じがなければ、2週間前後で口座が開けます。
証券会社の担当に株式投資の相談をしたからといって、良い結果を期待してはいけません。証券会社の儲けの一つは売買手数料です。多く売買させることによって手数料を稼ぐわけですから、無駄な売買をさせようとしている可能性もあります。また、電話で注文したときの売買手数料は1%以上になるので、緊急時以外は避けるべきです。
投資への心構え
株式投資は必ず儲かるギャンブルではありません。実際にトレードを繰り返すと分かりますが、必ず損をするトレードが発生します。もちろん儲かるトレードもあります。結局、トレードとは沢山の勝ちトレードと沢山の負けトレードの相殺なのです。最終的にトータル損失をトータル利益が上回るようにするゲームと割り切ることが大切です。
システムトレードは過去の株価の動きから、統計的に優位にあると判断できるときにトレードしますが、あくまで統計ですから連敗することもあれば大敗することもあります。しかし、多くのトレードを繰り返す中で徐々に儲けが損を上回るようになっていくことを狙っています。つまり、淡々と正確にミスなくシステムどおりにトレードを繰り返すことが肝要です。
一年で運用資金を倍にしたいなどと考えてはいけません。年率300%とか1000%と銘打っているような投資商材がありますが、冷静に考えてみてください。年率300%(つまり4倍)や1000%(11倍)の取引方法があったら、投資資金によっては数年で株式市場の全ての株を買い占めることができます。あり得ない話ですよね。過去のデータを考えると年利7%でも株式投資としては上々なのですから、ギャンブル的な発想で株取引はしないことです。
株取引に費やす時間
意外に考慮されないのがトレードに必要な時間です。何より自分のライフスタイルにトレードが合っていないと長続きしません。例えば、日中に仕事で手が離せない人がデイトレードすることはできません。普通のビジネスマンであれば夜間にトレードの作業をして、翌朝市場が始まる前に注文を入れるくらいの時間しか取れないでしょう。
また、システムトレードといっても完全に自動化されているものは少なく、必ず人手が必要になります。それは株データの取得であったり、売買指示の確認であったり、または売買の注文や保有する株式の管理であったりします。
本講座では、トレーディングシステムを稼動させるのは夕方以降、注文は夜間か朝に行ないます。このパターンであればほとんどの人のライフスタイルに合わせることができます。
トレーディングシステムは毎日起動して実行する必要があります。淡々と毎日システムに従い続けることが大切です。これができるかできないかが勝ち組と負け組みの一つの分岐点になります。
トレードに関する講座内容やプログラムは全て無保証です。講座やプログラムの使用、プログラム自体の不具合による金銭的、その他損害を受けたとしても、一切保証はできません。また、銘柄の推薦や利益を出せる各種メソッドや各種ストラテジーの質問・相談の受付は行いません。
株式投資は預貯金や定期と異なり、高い利益(リターン)が得られる可能性がある一方、元本保証はありません。つまり、多額の損失(リスク)を被って元本が半分以下になることも十分に考えられます。また、投資する際に利用した証券会社からの情報やメディアの報道、各種投資本からの情報、本ウェブサイトからの情報を利用・解釈して行なった投資が想定していた利益(リターン)を得られない、または損失(リスク)を受けたとしても責任を他人に転換することはできません。あくまで投資は自己責任となります。自分が許容できるリスクを十分に考慮した上での投資をお願いします。