システムトレード(導入編) システムトレードの作業 - 全体の流れ -
株式投資をシステムトレードで行なうときの作業について簡単に説明します。システムトレードはトレード手法の確立フェーズと完成したトレーディングシステムを実行するフェーズに分かれます。開発フェーズと運用フェーズと言い換えてもいいでしょう。
|トレード手法の確立| + |システムの実行|
+------------------+ +--------------+
(開発フェーズ) (運用フェーズ)
開発フェーズの作業
開発フェーズはこうすれば儲かるも知れない(優位性がある)ストラテジーの構築がそのほとんどを占めます。実際にはストラテジーだけではなく、システムトレードの対象となる銘柄の選定や、効果的なポジションサイジングの決定(トレード毎にいくら投資するか)や、仮想売買による資産曲線の滑らかさの検証など多くの検討項目がこの開発フェーズに入ります。
とは言ってもシステムトレードの中核がストラテジーの構築にあることは間違いありませんので、兎にも角にも最初はストラテジーの構築に全力を尽くすことになります。
運用フェーズの作業
開発フェーズで納得のいくストラテジーを組み込んだトレーディングシステムが完成したら、そのシステムを運用する段階になります。運用には毎日の株価データ更新が必要になります。最新の株価データを使ってトレーディングシステムを毎日実行します。実行結果を確認して、売買銘柄の指示があれば、翌朝の寄り付き前に注文を入れます。
この株価データの取得とトレーディングシステムの実行を毎日、立会日がある限り繰り返します。
銘柄選定と株価データ
システムトレードの開発では、銘柄毎に過去の株価データを用意して、優位性の見込まれるストラテジーを適用してみます。過去の株価データで仮想的に売買を繰り返して利益が上がるかどうかを確認するわけです。一つの銘柄だけでなく他の銘柄に関しても同じように確認を繰り返して、利益が上がる傾向があるかどうかを検証します。
| (修正) |(なし)
v |
株価データ -> ストラテジー -> ストラテジー -> 優位性 --> 運用
の整備 の開発 の検証 の確認 (あり)
ストラテジーの検証に使う株価データは長い期間であればあるほど好ましいですし、銘柄数も多ければ多いほどいいでしょう。ただ、株式には株式分割という制度があるために分割のたびに株価を調整しなければなりません。そのためか、なかなか長期の調整済み株価データがないのが現状です。
始めは比較的少ない銘柄でストラテジーを構築しますので、あまり気にしなくてもよいのですが、ある程度慣れてくると大量の銘柄数で長期間の株価データが必要になってくるでしょう。
ファンダメンタルズvsテクニカル
株式に投資するか否かを決めるために頼りとすべきものは何でしょうか。赤字企業、黒字企業といった基本的な経営状態でしょうか。過去数年間の営業利益の伸びを見るべきでしょうか。それとも、長期借り入れといった債務状況を見るべきでしょうか。実際、企業を経営分析するための指標は沢山あります。安全性、収益性、循環性、成長性などを総合的に判断して、投資すべき企業かどうかを判断するわけです。このような判断を重視する人たちをファンダメンタルズ派と言います。典型的な長期投資の裁量取引ですね。
逆に財務状況や経営方針などは、一切意識せずに株価の動きだけを重視して、投資のタイミングを決定するテクニカル派という人たちがいます。基本的に参考にするのは過去の株価チャートだけです。株価収益率など、他の指標を判断に加えることがありますが、数値化できていなければ判断の材料にはしません。
ところで、テクニカル派が一番に重要視するチャートですが、日本では以下のように日足(ひあし)として表現することがほとんどです。日足は寄り付きから大引けまでのザラ場の株価の動きを端的に表したもので、江戸時代には既に存在していました。テクニカル派の中には日足の組み合わせで、かぶせ線、はらみ線、山川宵の明星、黒三兵(三羽烏)などと表現して売買のタイミングとする人たちもいます。
| * * * | * * **
□ 終値 ・・・・・・・・・・・・・・* * * ・・* ■ 始値 ・・** * * ・・・・・・・・・・
□ * : * : ■ * : * :
□ 始値 ・・** * * ・・・・・・・・ ■ 終値 ・・・・・・・・・・・・・・* * **
| * ** * | ** *
| 安値 ・・・・・* | 安値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・*
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日足 寄付 大引 日足 寄付 大引
日足は始値(寄り付いた株価)、終値(大引けの株価)、高値(ザラ場での最高値)、安値(ザラ場での最安値)を示しています。4つまとめて4本値とも言います。日足の形ですが、始値よりも終値が高いと陽線(白)、逆に始値よりも終値が低いと陰線(黒)で箱が描かれます。見た目に株価の上げ下げがすぐ分かるのが特徴です。上下にある棒はヒゲと言われ、始値または終値と高値の間、始値または終値と安値の間に線が引かれます。それぞれ、上ヒゲ、下ヒゲと言われます。日足の形には様々なものがありますので、興味のある人は勉強してみてください。
投資家のほとんどはファンダメンタルズ派とテクニカル派に分かれます。ハイブリッドのトレーダーもいますが、元々が相容れない思想なので大抵はどちらかに偏ります。ファンダメンタルズ派は経済状況や企業の財務状況等で投資の方針を決め、テクニカル派はチャート分析から投資の方針を決めます。
一昔前はファンダメンタルズが主流でしたが、ファンダメンタルズに重点を置いて投資した結果が良好だったかというとそうでもなく、現在ではテクニカル派が存在感を増している状態です。
テクニカル分析が発展したアメリカでも、テクニカル派はチャート屋としてあまり高く評価されていませんでした。日本でも罫線屋と言われて評価は低かったらしいですし、今でもテクニカル分析はオカルトだと言われることがあります。偶然に形作られたチャートの形をみて、ダブルトップだ、ダブルボトムだ、トレンドラインを割ったと勘違いしているに過ぎないと言われます。ファンダメンタルズ派の目には、チャートの動きはブラウン運動のようにランダムな動きに映っているようです。実際、ランダムに作ったチャートをテクニカル派に見せても、作られたものとは気付かずにチャート分析し始めます。では、本当にチャートはランダムなのでしょうか。自然科学の著名な学者でトレード業界に移った人もいますが、彼は一目でチャートがランダムでないことを見抜きました。どちらが正しいのか永遠に議論は続きそうですが、ファンダメンタルズ、テクニカルのどちらも極めるには時間が掛かります。
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