分数計算できない大学生
分数の計算ができない大学生が話題になったことがありました。社会に出たほとんどの人にとって分数の計算は小学生以来なので、笑うに笑えないという人も多かったのでは…。
分数は英語でfractionです。イギリスでは過去にbroken numberとも言ったそうで、数が砕けているとは言い当てて妙ですよね。日本では分数なのですが、面白いことに江戸時代にはやはり似たようなイメージの砕数という言葉を使っていたそうです。
実は分数の歴史は紀元前2000年と古く、今のように分母・分子の形にしたのはヨーロッパにアラビア数字を紹介したフィボナッチで、12世紀のことです。
フィボナッチに関連する記事に、応用コーナーにウサギとフィボナッチがあります。また、実践コーナーの数学アラカルトに黄金比率とフィボナッチ数列があります。
そして、日本が関が原の戦いの頃。16世紀のヨーロッパで小数が考え出されました。小数と言えば表示に必要なのが小数点ですが、整数の数字以下との区切りとして、これを考案したのはネピアです。
電卓のある現代では、社会に出ると何でも小数にして計算しますから、敢えて分数計算に固執する人はいないでしょう。
とは言っても、一般教養として分数の計算を復習しておくのは悪いことではありません。覚書として分数の足し算、引き算、掛け算、割り算を記しておきます。計算方法を忘れている人は思い出すのにはいいでしょう。
分数計算のキーポイント
分数の計算で必要なのは通分と約分の考え方です。通分は計算する数字同士の分母を合わせること。約分は分母と分子を共通の数で割ることです。そして、最後に仮分数から帯分数への変換です。
・通分
1 1 3 2--- と --- の通分は分母が6で --- と ---
2 3 6 6
・約分
2 1--- の約分は共通の数字2で分子と分母を割って ---
6 3
・仮分数
6--- のように分子が分母以上の分数。逆に分子が分母より小さいと真分数
5
・帯分数
11 --- のように整数と分数の組合せ(仮分数から帯分数になる)
5
ちなみに分子と分母を分ける横の線のことを括線と言うそうです。
では、さっそく分数計算の復習です。まずは足し算からです。
分数の足し算
--- + --- = ?
4 3
分母を通分して計算します。結果が仮分数(分子が分母以上)になるので、帯分数にします。
--- + --- = --- = 1 ---
12 12 12 12
分数の引き算
--- - --- = ?
4 3
足し算と同じく分母を通分して計算します。
--- - --- = ---
12 12 12
分数の掛け算
--- × --- = ?
4 3
これは簡単です。分子と分母を掛け合わせて、最後に約分します。
-------- = --- = ---
4 × 3 12 2
分数の割り算
--- ÷ --- = ?
4 3
ちょっとトリッキーですが、割る方の分子と分母をひっくり変えて、分子と分母を掛け合わせます。最後に仮分数を帯分数にします。
--- × --- = -------- = --- = 1 ---
4 2 4 × 2 8 8
複雑な分数計算
これまでは分子も分母も小さい分数でしたが、以下のように大きな数字の場合はどうすればいいでしょう。
----- + ----- = ?
512 768
見た目に通分も大変そうだし、約分だって大きな数で大変そうです。
実は分母同士の最小公倍数が分かれば通分は簡単に、そして分子と分母の最大公約数が分かれば約分は簡単に計算できます。
--- + --- = --- |最大公約数
b d f --+
| |
+------+
最小公倍数
この複雑な分数計算の場合、分母の512と768の最小公倍数を求めることが必要です。ただし、肝心の最小公倍数を求めるのはちょっと複雑なので、rpnプログラムにまとめています。プログラム名はlcm(least common multiple)です。
最小公倍数プログラムのダウンロード
- 最小公倍数プログラムのZIPファイルをダウンロードしてください。
- ダウンロードしたZIPファイルをダブルクリックするとlcm.objが表示されます。
- lcm.objを格納したいフォルダにドラッグすると以下のダイアログが出てきます。
- パスワードを入力してください。一致していれば、lcm.objが解凍されます。
| パスワードの入力 |
+-------------------------------------------------+
| +-----+ |
| ファイル'lcm.obj'はパスワードで保護されて | OK | |
| います。 パスワードを入力してください。 +-----+ |
| |
| +----------------------+ +-----+ |
| パスワード(P): | | |キャンセル| |
| +----------------------+ +-----+ |
+-------------------------------------------------+
※パスワードは講座サポートのpasteプログラムのダウンロードと同じです。
ここでは、c:\rpnディレクトリにobjファイルが保存してあるものとして説明します。DOSプロンプトを起動して、c:\rpnまで移動してください。
では、さっそく最小公倍数を求めてみましょう。分母はそれぞれ512と768なので、それぞれを指定してlcmプログラムに渡します。
1536
計算の結果、最小公倍数は1536でした。それぞれの分母で割るとそれぞれの倍数が出ます。
3 2
それぞれの倍数をそれぞれの分母と分子に掛けてから、計算すればOKです。
-------- + -------- = ------- = ----
512 × 3 768 × 2 1536 1536
さて、計算結果の分数も大きな分子と分母です。これを約分するには分子が192で分母が1536の最大公約数が必要です。同じようにrpnプログラムにまとめてあります。プログラム名はgcm(Greatest Common Measure)です。
最大公約数プログラムのダウンロード
- 最大公約数プログラムのZIPファイルをダウンロードしてください。
- ダウンロードしたZIPファイルをダブルクリックするとgcm.objが表示されます。
- gcm.objを格納したいフォルダにドラッグすると以下のダイアログが出てきます。
- パスワードを入力してください。一致していれば、gcm.objが解凍されます。
| パスワードの入力 |
+-------------------------------------------------+
| +-----+ |
| ファイル'gcm.obj'はパスワードで保護されて | OK | |
| います。 パスワードを入力してください。 +-----+ |
| |
| +----------------------+ +-----+ |
| パスワード(P): | | |キャンセル| |
| +----------------------+ +-----+ |
+-------------------------------------------------+
※パスワードは講座サポートのpasteプログラムのダウンロードと同じです。
ここでは、c:\rpnディレクトリにobjファイルが保存してあるものとして説明します。DOSプロンプトを起動して、c:\rpnまで移動してください。
それでは、例題の最大公約数を求めてみましょう。分子が192で分母が1536なので、それぞれを指定してgcmプログラムに渡すだけです。
192
これで192が最大公約数であることが分かりました。この数で分子と分母を割ります。
----------- = ---
1536 ÷ 192 8
結局、複雑と思われた分数の計算の答えは次のとおりです。
----- + ----- = ---
512 768 8
さて、答えの1/8ですが、rpnで計算すると0.125になります。
0.125
然るに上の分数式をそのままrpnで計算するとどうなるでしょうか。
0.125
同じ0.125です。
無限小数や循環小数、桁落ちなどの数値計算の誤差が発生するなどない限り、やっぱり小数の計算の方が楽ですね。
rpnプログラムを実行するには、rpn試用版かrpn標準版が必要です(バージョンの違いはこちら)。