はじめに
rpn入門(初級編)では、rpnの基本的な使い方と演算記号について学びました。初級編の知識だけでは、心もとないという人もいるかもしれませんが、実際はビジネスを含め、日常使う計算時間の80%はrpn入門(初級編)で事足ります。
必要な計算機能を備え、同時に使いやすい電卓だけが、あなたの片腕として長くそばに置かれます。以下はそんな電卓になる可能性を秘めているrpn電卓の特長の一部です。
[ すぐに計算できる ]
電卓は素早く計算できるのが一番です。「計算しなきゃ」と思い立ったら数秒で計算できる状態になっているような電卓が理想です。rpnはDOSを起動して、即使えます。
DOSプロンプトを開いて…即計算。
[ 小回りが利く ]
余分な桁を削ったり、四捨五入したりと数値の加工は意外に多いものです。そんなときでもrpnなら一行で処理できます。
234
>rpn 19870325 100 / i 100 % 8桁の日付データから月だけを抜き出したい
3
>rpn 23456 . .05 * + 価格に税率を掛け合わせて値段にしたい
24628.8
>rpn 23456 . .05 * + f 値段の端数を切り捨てたい
24628
>rpn 23456 . .05 * + .5 + i 値段の小数点以下を四捨五入したい
24629
[ キータッチが少ない ]
rpnは逆ポーランド電卓なのでキータッチ数が少なく、普通の電卓を使っている人よりも時間の節約になります。また、計算式を考える時間も逆ポーランド電卓のほうが圧倒的に速くなります。
こんな複雑な数式も…
--------------------
(8.33 - 7.46) * 0.32
√ { --------------------------------- }
4.3 * (3.15 - 2.75) - 1.72 * 2.01
rpn電卓なら、こんなふうに…
普通の電卓なら計算するのが面倒になりますが、rpnなら素早く、そして短く書けます。スピードがビジネスに必要な要素なら、その要素を満たす電卓はrpn以外にありません。
[ rpnパッケージで機能アップ ]
あとはrpnパッケージを組み合わせるだけです。rpnの基本機能に追加するだけで大幅な機能アップが図れます。曜日や月齢、日付期間のような簡単なものから度数分布のような複雑なものまで充実しています(rpnプログラムの短縮記述を使用)。
3
>rpn 20050315 20081215 :days 契約満了日まで、あと何日か
1371
>rpn 6 ? -r 100 | rpn :freq サイコロを100回振ると
5 19
1 16
4 14
3 16
2 16
6 19
その他、データ分析、統計、金融、株式への適用など、rpnはジャンルに合わせた電卓に変化して、あなたを強力にサポートするでしょう。気が付くとあなたの欠かせない相棒になっているかもしれません。
rpnは標準版の機能だけで事務電卓や科学電卓として使えますが、金融電卓が欲しいならカンタン金融パッケージ、データ処理電卓が欲しいならカンタン分析パッケージというように、rpnパッケージを利用することで、金融電卓やデータ処理電卓、統計電卓に変えることができます。
パッケージの使い方はウェブサイトの記事と連携していますので、安心して学べます。詳しくはpackage入門講座、かんたん金融講座、かんたん分析講座、ビジネス統計講座、株式トレード講座を参照ください。
rpnの本領を発揮できる使い方
ただし、あなたが複雑な数式を計算したいとか、rpnを使ってデータ処理したいとか考えている場合は、初級編だけでは物足りないかもしれません。例えば、ファイルに保存されたデータを一気に処理するには、これまでの知識だけでは無理です。
そこで、中級編ではもっと深く、rpnの使い方を探求していけるようになっています。逆ポーランド電卓の内部動作を知るためのスタックの理解や、リダイレクトによるデータ処理、パイプによるデータの再利用、そして、レジスタや配列といったメモリの活用について学んでいきます。
スタック・レジスタ・配列は、rpn入門(上級編)を理解するためにも必要な知識になります。
これらの知識を学ぶことで、rpnらしい使い方が身に付くことになります。逆に言えば、中級編を学んで実践しないと、rpnを使う意味が半減してしまうことを意味します。中級編を学べば次のようなことも簡単にできるようになります。
契約日の曜日に偏りがあるか検証
契約している日に曜日の偏りがあるか確かめたいとします。契約日は"keiyaku.txt"にあるとして、度数分布を計算するとすぐに答えが出ます。そのrpn式は次のようなものです。
たったの1行で目的が達成できます。
あなたも新しい計算スタイルに…
今までの電卓ソフトや表計算ソフトに足りなかったものが、rpnにはあります。そんなrpnの電卓としての特長を活かすには中級編の理解が必要です。ぜひ、新しい計算への扉を開いてください。
rpnの真骨頂は、rpnらしい、rpn独特の計算スタイルです。
従来の計算よりもはるかに速く、パッと起動してスグ計算。その簡便さに加えて、大量のデータ処理も難なくこなせます。そして、カメレオンのようにジャンルに合わせて最適な電卓へと変化するなど、rpnの計算スタイルはユースフルでパワフル。使えば使うほど手に馴染んでくる電卓です。
中級編をマスターすることで、あなたは新しい計算のスタイルを手にすることができるでしょう。
本講座に出てくる後置記法式および逆ポーランド式は電卓ソフトである「rpn」が使用可能な構文を対象にしています。四則演算記号以外の逆ポーランド式の構文は全てrpnの独自文法です。